卒業論文 D.Nさん
3年間の実習を終え、生き方働き方学校を卒業されたD.Nさん。
彼の真っ直ぐで純粋な姿勢はみんなから信頼され、愛されていました。
社会へ旅立っても、その純粋な心を忘れないで、立派に成長していってください!
応援しています!
【卒業論文 D.Nさん】
僕は10歳の頃から精神病でずっと悩んでいました。小学校の頃、文字が汚い事を先生に指摘されて、文字を綺麗に書こうとした時に、自分の書いた文字が綺麗になるまで書き直していたのが、いつの間にか納得がいくまで何十回と消して書き直しを狂ったように繰り返していたというのが僕の病気の始まりです。
それからというものの、他にもいたるところで病気の症状が沢山出て来ました。中学に上がった頃、頭の中で何か別のものに命令されるような感覚が現れて来ました。家の階段を上ろうとすると、「上ってはいけない」と命令されている気がして、階段を上ることが出来ずに母親に腕を引っ張ってもらってようやく階段を上ることが出来るといった有様でした。文章を読もうとすると、「読んではいけない」と言ってきて、一人で文章が読めなくなっていました。教科書を読む時も、家では読み聞かせしてもらわないと出来ませんでした。
そんな、所謂普通の中学生には考えられないような日常生活を送っており、そんな中学校生活が終わり、何とか高校にあがりはしたものの、高校1年の僕は一番重症な状態でした。もう頭で命令されている事のまま体が動かされていて、操り人形のような状態で、結局精神病院に1ヶ月入院することになりました。入院先からそのままここに入学という事になったのが、ここに来るまでの経緯です。
まず、入学して一番最初にぶち当たった壁は、病気で全くできない実習です。葉物選別、三角ホーの畝作り等、全くこなす事が出来ず、分からないと言って少しも動けませんでした。他にも勉強会の本の読み合わせも、本が読めず参加できずにいました。迷惑も散々かけました。ここでの生活に馴染めず、「帰りたい」と言い続けたり、実習を抜け出してグリーンオアシスまで行き、2階から飛び降りようとした所をスタッフに捕まえられてひどく怒られた事もありました。薬も沢山飲んでいたため、靴下を履いたり、体を洗ったりすることも一人で困難な状態でした。そんなマイナスからのスタートでしたが、少しずつここで生活していって病状が良くなっていって、出来るようになった事も増えていきました。薬も減ってきて、動けるようになり、本も読めるようになりました。本当に少しずつですが、その積み重ねで3年経った今は前とは見違えるようだとみんなから言われるようになりました。ここまで僕が変われたのは僕一人の力ではありません。先生方、スタッフ、実習生全員のサポートがあった御陰です。本が読めない時、皆で読めるようになるにはどうすれば良いのか考えてくれました。僕が問題を起こした時は、全員で僕のためにミーティングを開いてくれました。ここでなかったら他の人は無視どころかいじめられていたかもしれません。しかし、ここの皆はそうではなくて、真剣に僕に向かってくれました。筋力も大分付いてきて、入所したばかりの頃、30kgの米袋を持ち運ぶ事が出来なかった僕が、筋力をもっとつけたいと思い、リーダーに力仕事を僕に率先してやらせて欲しいと頼み、頑張った結果、今では30kgを長距離でも運べるようになり、短距離なら50kgくらいのものも運べるようになりました。僕はここで精神病が良くなっただけでなく、生きていく力をつける事が出来たと思っています。体力、精神力以外にも、仕事力、判断力、注意力等、人間の力、人間力をここで学びました。ここでしかつける事が出来ないものだと思っています。それから先生方からの愛情も本当に有難いものでした。研先生は皆のために豪華な料理を作ってくれました。その料理は本当に美味しくて魂の込もったものでした。僕たちのために本当の真実を見極めた情報を与えてくれて、僕たちの命も守ってくれました。みどり先生、井上先生はここの実習生の心のケアから始まり、カウンセリング、常に実習生の精神面の細かいちょっとした変化を観察し、その人が本当によくなるためを思って指導して下さいました。そして、さおりさん。ここを作ってくれた原点となる人で、「生きる」という事を教えてくれる先生です。本当に一生懸命に生きている人です。まだまだ課題は沢山ありますが、ここでの成長をこれからの人生で活かしていきたいです。本当に水輪の全員に感謝です。ありがとうございました。僕はここに来れて幸せです。